介護サービスにおいて「あなたが一番」はNG?

こんにちは!中込です!

今日は、介護のキホンについてお話ししたいと思います。

ヘルパーさんや、
介護に携わっている方に読んでほしい内容です。

介護職以外のお仕事されている方
…例えば営業さん

「○○さんにいつも来てほしい」
「あなたじゃなきゃイヤだ」

こういう”ご指名”の言葉をいただくと

営業冥利につきるというか、
やり甲斐を感じたりしますよね。

実は介護職になると、

これは必ずしも”良い仕事”とは言えないのです…

例えば、
ご利用者さんにヘルパーに伺ったとき

担当ヘルパーさんが、
「早く、正確に終わらせよう」と思うのは、
ある種プロ意識かもしれません。

けれど、
それが“あなたにしかできないサービス”になってしまうなら、

少し立ち止まって考えなきゃいけないんです。

1.いいヘルパー?悪いヘルパー?


ベテランヘルパーさんのA君は、
30分の予定で入っているオムツ交換を
15分で終わらせることができる。

時間があまるものだから、

”他にやることあります?”と、

ご利用者さんに聞いて、
毎回困りごとをひとつ解決している。

ご利用者さんにはとても喜ばれているようだが、

果たして
ベテランヘルパーさんのA君は良いヘルパーで、
30分かけてオムツ交換をしている
新人ヘルパーのBさんは悪いヘルパーだろうか?

大切なのは、
決められた時間内で「遅くもなく、早くもなく」
そして誰が行っても同じ質のサービスを提供すること。

なぜなら、訪問介護サービスは
「均一的な品質」で提供されるべきことが
制度上求められている
からです。

※ 厚生労働省にて、訪問介護サービスに係る「平準化」「標準化」が求められています


よりいいサービスができるなら、
そっちの方がいいじゃない?

と、思うかもしれません。

2.“均一のサービスの提供”は、制度の大前提


介護保険制度では、

アセスメント→計画→モニタリング→再計画
というプロセスを

誰が対応しても一定の質が保てるように
標準化することが求められています。

アセスメントやケアプラン、
現場への指示・記録管理を通して

品質を「組織として」担保する──

つまり、“属人化ではなく、
組織で支える介護”こそが、

制度に組み込まれた
本来の介護の姿なのです。

3.なぜ“均一品質”がそんなに大事なのか?


このプロセスの標準化は、

ただの制度上で大事という話ではありません。

同じヘルパーが、24時間365日
ご利用者さんに付き添うことはできないからです。

誰が入っても迷わず
いつでも同じ水準のケアを届けられるかどうかは
安全安心な介護サービスの提供のために、
欠かせない視点なのです。

言い換えれば、

「自分しかできない介護」ではなく、
「自分がいなくても、ちゃんと伝わる・つながる介護」
これこそが、本当の介護のプロフェッショナルなのです。

次の視点も介護あるあるなので
よく聞いてくださいね。

4.優しさが、ご利用者の能力を殺すとき

ある高齢女性のケース。

ご本人は時間がかかりながらも、
自分でズボンを履くことができていました。

でもある日、ヘルパーが気を利かせて、
さっとズボンを履かせてあげたのです。

するとその日から、
「やってもらう」ことが当たり前になってしまいました。

「手伝ってあげる方が、ご本人も喜んでくれるから」

この“優しさ”は、
ご本人の力を奪ってしまう
もはや介護の本質を逸脱した行為なのです。

介護は、相手の「能力の維持」が本来の目的です。

この「能力の維持」って、
なにもやらない状態では

おじいちゃんおばあちゃんにとっては
すぐに「能力の低下」を招いてしまうんです。

だから「全部やってあげる」よりも、
「できるところは見守る」ことのほうが、

ものすごく大事で、愛情が必要で、よほど技術が必要なんです。

属人化した“あなただけの優しさ”は、
介護サービスとして成立しない。


その人の能力を活かす支援が、
誰の手でも行えるようにすること

それができて、初めて介護職だと、僕は思います。

5.チームでつくる、強くてやさしい介護


誤解してほしくないのは、
「できるヘルパーさん」を
否定したいわけではないということです。

誰よりも丁寧に、正確に、気持ちを込めてケアする──

それは本当に素晴らしいことで、
現場を支える大きな力です。

ただ、どんなにすごいサービスでも、
「その人にしかできない」状態では、
現場全体の力にはなりません。

もし、ベテランのヘルパーさんが
新人ヘルパーさんの働きに物足りなさを感じたなら──

あなたの経験を、惜しみなく伝えてほしいのです。

やり方も、心構えも、言葉づかいも。
伝えることで、

“あなたの介護”が
“チームの介護”になります

新人ヘルパーさんもまた、
「新人だから仕方ない」と思わずに

ご利用者さんの生活をより良くするための技術を
日々磨いていってほしい。

誰かひとりのサービスではなく
チーム全体のサービスが底上げされていけば

それはご利用者さんにとっても、
施設にとっても、
大きな喜びになります。

介護の現場は、
“個の力”で回すものではありません。

“みんなで支える”ために、

技術を分かち合い、仕組みを整えていく。

その中にこそ、ほんとうの優しさが宿っている──

介護って、奥が深いでしょ?

不明な部分があったり、詳しく知りたい方は、
下の問い合わせボタンからお気軽にお問い合わせくださいね。
ではまた!

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