もう一度、おさらいしませんか?「管理者要件の変更」と、人件費のリアルな話

こんにちは、中込です。
今日のテーマはちょっと地味なんですが……
介護経営に携わる方にとっては、
実は大きな意味を持つ制度改正のお話です。
2024年の4月改正で、
介護事業所の管理者要件が一部変更になりました。
この話、意外と「知らなかった!」という
経営者さん、多いんですよ。
「前にどこかで見た気がするけど、
詳しくはチェックできていない…」
「コロナ以降、制度の変更が多すぎて追いつけてない」
──そんな声を、
各所で耳にしてまいりましたので、コラムにしたくなりました。
この変更、きちんと知っておくと
人件費の見直しや、経営体制の再設計に活かせる可能性があるんです。
1.管理者要件、そもそも、何が変わったの?
介護事業所には「管理者」を配置しなければなりません。
この管理者、
原則として1事業所に1名、その建物の中にいる必要があったのです。
つまり…
・1階でデイサービス、2階で訪問介護をやっている場合
→ 兼務OK(デイサービスと訪問介護併せて管理者1名で⚪︎)
・でも、隣の建物だったら?
→ NG(デイサービスと訪問介護それぞれに管理者1名)
たとえ1丁目と2丁目のような
隣の施設でも、兼務は不可
これが、以前までのルールでした。
それが、2024年の制度改正でどう変わったかというと──
“同一建物内”という条件が外れたことで、
隣の建物や近隣エリアでも
兼務が可能になったのです。
つまり、
管理者の人数を見直せるようになったというわけです。
もちろん、緊急時にすぐに駆けつけられることが前提です。
そして自治体によっては“ローカルルール”があるため、
兼務をどこまでの距離が許容されるかは、
一律にOKというわけではありません。
でも、この条件の緩和は、
たとえば2拠点を持つ事業者さんにとっては
大きな意味を持つ話です。
2.この変更が、何に影響するの?
結論から言うと、人件費の見直しに直結します。
たとえば、管理者1人に
月40万円の給与が発生していたとします。
これを2拠点で2人雇えば、
人件費は 月80万円。年間で 960万円です。
でも、もし兼務が可能になれば?
1人で2拠点を兼ねられることで、
月40万円の削減が可能になります。
浮いたお金をどう使うかは、もちろん経営判断ですが──
・職員の給与を底上げする
・経営体力を強化し、次の投資に充てる
・採用力を上げるため、福利厚生の整備に使う
どの選択も、“これからの介護業界”に必要なことだと思います。
3.「小さな変更」のようで、実は大きなインパクト
この制度改正、
ニュースでもあまり大きく取り上げられていませんでした。
たぶん、新聞の片隅に数行書かれていたようなレベルです。
でも、現場から見ると──
「なんでこれ、もっと早く言ってくれなかったの⁉」
そう思わずにはいられないような、大きな変更なんですよね。
4.コロナ禍を経て、見直された“管理者の在り方”
この制度改正の背景には、
コロナ禍で、のっぴきならなくなった
介護現場の状況がありました。
現場に人が足りない。出勤が困難。
そんな現場の実情にあわせて、
国が「管理者の兼務やリモート対応も可」と
制度を柔軟にしたのです。
コロナ禍での緊急的な措置でしたが
実施されてみると、管理者は
火事や事故、緊急時の責任対応さえできる体制が整っていれば、
日常業務を“兼務”でこなすことは可能とわかったのです。
5.情報が「届いていない」ことが一番の課題
今、介護業界の経営者の年齢層は
70代以上が中心です。介護保険制度がはじまった時期に
起業した方々なのですが
今でも紙の情報収集がベースの方が多いです。
そしてコロナで
提出書類や制度変更が増えすぎて、
「本当に必要な情報が見落とされやすくなっている」と感じます。
今回の「管理者要件の変更」も、
制度的には“小さな改正”かもしれませんが、
現場目線では、経営の根幹に関わる変化です。
・人件費の見直しをしたい
・職員の待遇改善に取り組みたい
・事業を持続可能な形にしたい
そんな思いを持っている経営者さんにこそ、
今回の変更点を“チャンス”として活かしていただきたいのです。
制度は、使い方次第で味方にもなります。
不明な部分があったり、詳しく知りたい方は、
下の問い合わせボタンからお気軽にお問い合わせくださいね。
ではまた!
参考:厚生労働省 令和6年度介護報酬改定における改定事項について
https://www.city.mito.lg.jp/uploaded/attachment/39963.pdf