サ責ファーストの本を作りたかった

こんにちは、
「サ責のあなたに贈る本」の編集を担当したきょんです。
前回コラムに続き、本の制作の裏側をお伝えしたいと思います。
1.現場に届けたい気持ちを、どう形にするか悩んだ日々
この本ができるまでには、かなりの試行錯誤がありました。
原稿の元になったマニュアルは、なんと書籍の約3倍のボリューム。
そして、読み進めるうちにさらにどういう形がよいのか悩まされました。。
その文章のひとつひとつが、
間代さんのサ責としての経験とサ責育成の現場からにじみ出た、大切な蓄積だということ。
サ責として何十年も尽力なさってきた糧を、私が簡単にさわってよいものかな、と。
最初は、いっそ上下巻にしようか?という案もありました。
そんなとき、間代さんと打ち合わせで出てきた言葉が、編集の指針になりました。
「私は、できればサ責さんひとりひとりの悩みにお電話で答えたい」
間代さんは、今までのご自身の功績とかうんぬんではなく、
今、現在悩んでいるサ責さんにいかに寄り添えるかを考えていらっしゃるのだ、と。
”現場のサ責さんファースト”この指針がはっきりとしてから
ようやく編集をすすめることができました。
2.サ責さんのための本の構成
忙しいサ責さんたちが、分厚い2冊の本を手に取ってくれるか?
と考えると、うーん…違うかな。
読みやすさ、見やすさ、タイミング――
とにかく“現場で働くサ責さん”の時間と気持ちに寄り添った構成にしよう。
その想いを軸にして、本の形が少しずつ決まっていきました。
ページ構成も、あえてバリエーションをつけて
本文ページ:章ごとの視点や考え方をまっすぐ伝える場所に
2段組ページ:用例やエピソードを詰めて、気になるとこだけつまみ読みできるように
コラムページ:お茶を飲みながらでも読める、ちょっとした心の休憩になるページに
さらに、章の構成も前半と後半でガラッと分けています。
前半(1〜4章)は、サ責さんに限らず、ヘルパーさんや、
介護の世界に入ったばかりの方にも届いてほしい入門編。
後半(5〜16章)は、
より実務に深く踏み込んだ「サ責の専門編」としてまとめました。
そして、絶対に削りたくなかったのが、間代さんの“まなざし”です。
サ責として実際に直面する悩みや迷い――
教科書的な答えがない場面に、どう向き合うのか。
「こうすればいいよ」と一言で言えるものじゃないからこそ、
間代さんはご自身の経験をもとに、ていねいに言葉を探してくれました。
その姿勢に、私は何度も背筋を伸ばされました。
介護法という土台をふまえながら、
対人援助という“感情が揺れる現場”でのリアルな判断。
それは、誰かに「こう書いてあったから」と責任を預けるのではなく、
自分の足で立って考えることでもあります。
だからこの本は、マニュアルというより「ともに悩み、ともに歩く一冊」だと感じています。
サ責という仕事のやりがいやしんどさに、どこかでふっと共感してもらえたら。
そして、ページをめくることで少しでも心が軽くなったり、前を向けたりするなら。
それが、編集した私にとって、いちばんうれしいことです。
全国のサ責さんに、
この本が届いてほしいです。
「サ責のあなたに贈る本」著者:間代みずほ HTC出版
A5サイズ/P127/税込3,300円